マニアのメモ帳

パワーパックを安く作る

市販のパワーパックは高価だし気に入ったものがないので自作した。10年程前に電車型トランジスタコントローラーを作ったが長距離運転向きなので、入れ替えやテスト運転用に普通のパックが欲しくなったのだ。電気の方は素人なので、回路をどうするかで悩んでいたところ、安くて良いものがあると知人に教えられ早速採用することにした。

それは秋月電子の「LM338T安定化電源キット」というものだ。3端子レギュレータLM338Tを使った回路で、出力電流は最大5A。ICに過電流、加熱の保護回路が内蔵されているのでサーキットブレーカーが不要でオーバーヒートも大丈夫という優れモノ。制御部の部品が揃っていて650円だから驚き。3A用(LM350T)もあるが数十円安いだけなので余裕のある5Aを使うべきだろう。ちなみに同様なものでパワートランジスタを使っているものも市販されているがこちらは3000円程度と高め。

今回製作したものは最大出力3Aを予定しているのでトランスは3Aを使用。他にシャーシ(ケース)、ダイオード、ボリウム、電源コードなどを新規に購入。電圧計、電流計、パイロットランプなどの小部品は手持ちのものを使ったので安く上がった。もし全ての部品を購入しても1万円程度で出来るだろう。
(価格は2002年8月、秋葉原で購入の例)

Power pac 左上:電源パイロットランプ(ネオン球)
左下:電源スイッチ
左中:電圧計(DC.20V)
右中:電流計(DC.5A)
右上:電圧調節ツマミ
右下:前後進スイッチ
出力はDC12V(運転用)とAC16V(アクセサリー用)があり、裏面にターミナルを設置。

製作の要点

トランス

電源トランスは説明書を参考に選べば良いが、2次側に2V刻みにタップが出ているものが使いやすい。今回は2次側0〜16Vで3Aのものを使用し、16Vのタップを利用。結果、出力は最大12V程度となった。

回路の変更

キットの回路は一定した電圧を取り出すものなので固定抵抗(キット添付回路図のRV)に替えて可変抵抗(2キロオーム、1/4W型)を入れる。これで電圧を変えスピードをコントロールする。半固定抵抗は使用しないか、あるいはゼロにしておく。

この回路は完全に0Vにはならず最低電圧約1.5Vなので、出力に直列にダイオードを2個入れ、約1.5V電圧降下している。単体で大容量のダイオードが市販されておらず、安価な4Aのブリッジがあったのでその半分を使用。それでも厳密には0Vにならないが実用上全く問題ない。極性反転スイッチ(前後進スイッチ)に中立オフのものを使えばOK。

発熱対策

LM338Tは指先で触れなくなるほどかなり発熱するので放熱板が必要。発熱が一定以上になるとICの保護回路が働いてダウンする。市販のヒートシンクやファンを取り付けても良いが、比較的高価なので。私は手持ちの1tアルミ板を適当な大きさに切り、コの字形に曲げて使用している。ICには直にネジ止め。ケースはスリット入りを使用して放熱に対処。また出力側に増設したダイオードも発熱するので。これにも放熱板を取り付けている。本来は配置を工夫してシャーシに取り付けるのが最適な方法。

試運転

旧型のモーター2個(カワイのL5とカツミのDV18)を並列につないでテストをした。最大出力(無負荷)で連続1時間程度運転したところ、かなり発熱はするもののダウンすることはなかった。放熱板を大きめに作った効果だろう。

Click here to go to the top page