室内灯ユニットを作る
近年HO(16番)の車両にもNの設計手法を取り入れた量産品が主にNのメーカーから巷に多く出回るようになり手軽に編成モノが楽しめるようになった。当社のような零細鉄道会社にとっては誠に喜ばしい。
これらの製品群のうち特にハコものは簡便ではあるが室内の造作がしてありオプションの室内灯を装備するとより一層映える。ところがこの室内灯は少々高価で長編成ともなれば全車に装備すると客車1両が買えてしまうほどの価格になる。
ならばこれを安価に自作しようというわけで、偶然にもピッタリの汎用基板をネットで見つけた。西宮にあるテクノミューコンというところで作っている製品だ。早速試しに購入してみると、長さといい幅といい、まるで鉄道模型に使ってくださいと言わんばかりの寸法ではないか。試作品を作ってみたところ思いのほか良い感じに出来た。
165系用の作例、 上:中間車用 下:先頭車用
1本の基板に同じパターンが6ユニット並列になっていて切り離して長さを調整できる。KATOの165系の場合中間車用に6ユニット先頭車用に5ユニットで丁度良い長さだった。
蛍光灯を表現すべく白色チップLEDをCRD(定電流ダイオード)で駆動する回路として1ユニットに一組ずつ取り付けた。1ユニットに直列に3個の部品が付けられるので空きの部分は短絡させてある。端にはブリッジダイオード、もう片方の端には100mFの電解コンデンサーをスペースの関係から2個並列に取り付けた。
先ずはTOMIXの50系客車に装備。天井には取り付けず床板から立ち上げる構造としたので上下の分解は容易に出来る。点光源の複数配置なので場所により色むらが生じるがそれほど気になるレベルではない。作例は少々明るすぎの感はあるがこれは好みの明るさになる電流値のCRDを選べば良いだろう。
オハ50に装備した例・照明を少し落として撮影
この車両の場合、室内に使われているプラの色がクリーム色なので余計明るく見えるのだ。そこで面倒ではあるが座席にモケットを貼った。材料は100円ショップで入手した青い色画用紙。これでだいぶ落ち着いたが、それでもまだ明るい。明るさの具合は室内の色にかなり左右される。
引き続いてKATOの165系用に12個分の製作に着手した。この車両では車体天井に取り付けることにし、上下が容易に分解できるようにリン青銅板などを使用した接点を設置した。先頭車と中間車それぞれ1個ずつ完成したところで材料の基板も尽き、また2011年に震災があり計画停電などがあったことも手伝って製作意欲も失せてしまい計画は一時中断した。翌年基板を必要数追加購入するも塩漬けに。
それから早7年の月日が流れた。ふと気付いて放置された基板を眺めていると製作意欲が湧いてくるではないか。早速半田ごてを握る。サハシのLEDは取りあえず乗務員室部分にあたる1ユニットを空けておくこととした。車体に取り付け後矢張りこの部分だけ暗いので、通常ユニットとはずらした位置に他より暗めの白色LEDを取り付けた。
サハシ165に装備した作例
LEDを電流制御のCRDで駆動する方法は実に素晴らしく、6V位から明るく光り12Vでもその明るさはさほど変わらないという特徴を持つ。CRDを抵抗に置き換えた場合、抵抗値を最大使用電圧の12Vに合わせなければならず、オームの法則からLEDの電流値、つまり明るさは電圧に比例するのでフルスピードで走らないと所定の明るさにならない。しかしながら抵抗が1本1円なのに対しCRDは1本30円と30倍の費用が掛かる。
昨今テープLEDを車両に応用する例を見受けるが抵抗制御の同品ではこの点不満が残るように思う。
モハ164に装備した作例
こうして作ってみて分かったことだが、10個程度とはいえ量産するとなると結構な手間暇がかかる。多少高価でも純正品を買った方が手っ取り早いようにも思う。それで満足できればの話だが・・・。
これで165系室内灯プロジェクトは一応の完結を見たわけだが、眺めているうちに何か物足りなさを感じ、新たな製作意欲がムラムラと・・・。それはまた別項で。
こちらの記事も併せてご覧ください。完成品を仕上げる