マニアのメモ帳
大正生まれの東武電車
昭和30年代も終わりを告げる頃、東武では激動の時代を生き抜いた大正生まれの電車がまだ現役で客を乗せて走っていた。
先ずは大正13年に木造車デハ1形が8両(5号が博物館に保存)、大正14年にその増備車が半鋼製でデハ2形2両、クハ1形6両の計8両、ここまでが正面5枚窓。
大正15年に半鋼製デハ3形8両と東武初の全鋼製クハ2形2両が製造され、この10両は貫通扉付きで後の昭和初期東武型に類似。当初未電装で客車として使用された。
以上、大正系は総勢26両。
晩年は他社に譲渡されたり、荷電に改造されたり、車体を載せ替えたり、はたまた客車になったりとさまざまだったが、奇跡的にその中の一両が原型に近い形で生き残り、今では向島の博物館に保存されている。
ところで、私はこの電車に乗ったことがある。場所は東武大師線、まだ環状7号線が開通前で大師前駅は開業当時の姿だった。ネットで見つけた画像ではモハ1400、元の大正14年系クハ1形4号で、木造車デハ1形と同じデザインの正面5枚窓の風貌は強烈な印象だった。
さてこの編成、同系MTの2両だと思い込んでいたが、写真を見るとクハのスタイルがモハとは異なる。細部を色々と調べてみるとどうやらクハ220形のようで、これは元大正15年系デハ3形だ。ドア交換など改造はされているものの原型を多く残す大正時代の電車同士がここへ来てペアを組んでいたのが興味深い。両車とも1964東京オリンピックの頃に改造、更新され大正の面影は失われてしまった。
大正系の電車を年表にしてみた。雑誌記事やWikiを参考にしているが所属線区については写真との整合が曖昧なので割愛。(誤りがあったらご容赦)