珊瑚模型店500形(A8)ベースキットの製作(1)
購入後しばらく塩漬けになっていたキットの製作を始めた。さてこの機関車、その昔雑誌で見た電化前の西武多摩川線でミキストを牽く5号機の写真に刺激を受け、いつかは再現したいと思っていたものだが、さりとて厳密に西武5号機にしようという訳でもなく、昭和中期頃の私鉄の雰囲気を味わおうというわけ。
この稿では製作中に気付いた部分や加工した事柄など製作のヒントを記す。各部の組み立てに際しては部品と組立図との間にいくつか相違がみられたので、その都度説明図の図面を参照し寸法を確認することをお勧めする。
主台枠
説明書に従い初めに走行装置から組んで行く。
このキットの主台枠は組み立て済みとなっているが注意すべき点がいくつかある。
先ず主台枠A(1-1)の一番低くなっている部分とスペース板(1-2)の上部とをツライチに仕上げておく。ここに段差があるとここに乗るシリンダー本体(1-16)が、ビスを締めた時に歪んでしまうと共に床板(3-1)の取り付けにも支障が出る。スペース板後(1-5)の部分も同様に仕上げる。
ガイドヨーク(1-6)と主台枠の二段目の高さの部分上面もツライチにするが、それには主台枠の取付用のスリット深さを調整する必要がある。
兎に角、主台枠上部と床板との接点は隙間なくピッタリと合っていなければならない。上下の取り付けビス(1-14)(1-15)の長さは寸法ギリギリなので、床板の基本部分(3-1〜3-5)を先に組んでおいて現物合わせで調整しながら工作することをお勧めする。上下取付板(5-5)も仮組に活用する。この部品は説明図では凸型の部品が描かれているが、現物は「ヨ」の字型のものが入っていた。
バルブギアの調整
この形式はジョイ式バルブギアを採用しているが、模型ではロッドA(2-25)【合併テコ】より上の弁装置については外からは見えなくなるので再現されていない。
ロッド類の寸法は非常にシビアで、部品を慎重に調整する必要がある。
ロッドB(2-26)【揺リンク】はロストワックス部品なのでランナー跡などを削り仕上げておいた。また回転角が浅くメインロッド(2-22)が後死点へ行く前に回転部側面が接触し、それ以上動かなくなってしまうのでメインロッドとの接触点をヤスって可動角を45度以内になるようにした(写真赤罫)。動輪はイコライザーで上下動するのでその余裕をも見込んでおきたい。
左右とも同じ品物なのでそれぞれを個別に調整する。またメインロッド側面の接触部分も軽くヤスっておいた。メインロッドとはハメるだけでカシメない。ロッドA(2-25)を介することで外れなくなると説明書にあるが、実際にはロッドC(2-27)【心向棒】をスライドバー下部の心向棒受に固定するとそうなる。
クロスヘッド(2-23)とメインロッドはクロスヘッドピン(2-24)で連結するがメインロッドが捻じれないように慎重にカシメる必要がある。
以上、バルブギアを調整したがそれでもまだギクシャクするので、シリンダー本体(1-16)の中央後部をほんの少し削り(写真赤円部分)エンジンブロック全体を0.2ミリ弱後方へ下げることでスムーズに動くようにした。
スライドバー(1-19)とメインロッドの接触にも注意。また、動きが悪いのに無理をして回転させるとロッドピン長(2-21)がネジ山の開始点のところで曲がってしまうので要注意。
バルブギア組み立て後、モーターを取り付けない状態で手で押してみて各部が軽く動くようであれば調整完了。
その後モーターを取り付けて動作を確認する。これで問題なく線路上を走行するようであれば足回りは完成。
その他
ひとつ追加工作、従台車の従輪受(2-11)がネジ1本で止める構造なのでねじ止め後のグラつきが気になる。このままだと走行中にネジが緩むことが予想されるので従台車ステー(2-10)両脇に端材のチャンネルを2分割してアングルとたものを両脇に張り付けて振れ止めとした(下写真赤円部分)。
第二動輪の担いバネ(2-32)は動輪押さえ板の寸法が1ミリほど足らず、その後端に取り付けると軸中心と合わない。動輪押さえ板を延長する必要があるが表からは見えないのでそのままにしてある。(上写真でも判る)
また、ブレーキシュー(1-9)とブレーキシュー座(1-10)は半田付けした。これで主台枠への取り付けが容易になる。ブレーキシュー止ビス(1-11)は緩み易く、ブレーキシューが動輪に接するとショートの原因となるから完成後はロックタイト等を使用した方が良さそうだ。
こちらの記事も併せてご覧ください。珊瑚模型店500形(A8)ベースキットの製作(2)