M YATAKE
矢岳真幸の脇道・寄り道・まわり道
鉄道懐古篇

circle東上線の青い電車
池袋駅の東上線ホームに着くと、隣のホームに濃紺の電車が停まっていることがあった。私はそれに乗りたくて池袋に行くたびに何回か親にせがんだものだが、行き先が違うとかで願いは悉く却下された。その電車を見るのは帰り道で、上り電車で池袋に到着する夕方から夜にかけての時間帯が多かったように思う。当然その時には乗ることはできず、次回以降に期待するわけだが往路に青い電車が待っていても前述の理由により乗せてはもらえなかった。乗るのはいつも「普通の電車」だった。

その当時は東上線の電車の色がオレンジ色に黄色の帯からベージュとオレンジ色に替わった頃だったと思う。そんな中であの青い電車はひときわ魅力的だった。何となく冴えない「普通の電車」に比べてその青い電車はぴかぴかに光っていた。駅の蛍光灯に照らされて光沢を放っていたのだ。子供心にも何か「特別の電車」という感じがした。

いつのまにか青い電車はなくなり、その後東上線とも疎遠になった。とうとう青い電車には一度も乗れなかった。私は今でもそのことが残念でならない。それがフライング東上であったことは後年になって知った。

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