M YATAKE
矢岳真幸の脇道・寄り道・まわり道
鉄道懐古篇

circle特急こだまと夢の超特急
特急こだまは憧れの的だった。クリーム色に赤のボンネット形列車はスピードを強調し、いかにも早いという印象を与えた。しかし私にはこれは絵本の中の世界で、実物を見たことはなかった。当時の絵本は今のように写真ではなく本物の絵だった。国鉄101系電車、151系電車こだま、20系客車あさかぜ、小田急の特急SE車、丸ノ内線の赤い電車と御茶ノ水の立体交差、近鉄ニュービスタカー、といったところが描かれていた。これらはこの時代の最先端の乗り物だった。

SE それから暫くして「夢の超特急」が衆目を集めた。新幹線という言葉はまだ定着していなかった。東京から大阪まで3時間とかで噂になっていた。私は子供心にもそんなのウソだろうと思っていた。あのスマートでカッコいい特急こだまが東京から大阪まで6時間だった。それでさえ当時としてみれば驚異的な速さだった。だが新幹線が現実のものになると「こだま」の名は新幹線に移った。またまた乗りたくなった。東京オリンピックの年だった。

結局特急こだまには一度も乗れなかった。当時はレジャーなど庶民にとっては贅沢だったし、第一我が家では特急こだまででどこかへ行く必要も生じなかったのだから致仕方ない。国鉄の長距離列車には全く縁がなかった。学校の友人が遠方へ行った話などを聞くと羨ましかった。

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