M YATAKE
矢岳真幸の脇道・寄り道・まわり道
鉄道懐古篇

circle東武大師線
東武大師線は短距離の盲腸線だ。昭和30年代の大師前駅は大師の参道のはずれ、現在の環七の南側あたりの淋しい場所にあった。現在よりはいくぶん距離が長かった。ホームは相対式で2面あり、通常北側のホームが使用され、もう片方は多客時に使用された。線路は駅の少し先まで延びていた。板橋の方へ延長する計画だったのだ。

ここではなんと大正時代のデハ1形が2両編成で走っていた。正面5枚窓の無骨なスタイルはどうも好きになれなかった。塗色はブドウ色1号に近い色のように思うが濃い茶色だった。古豪は重厚な釣掛音を響かせて走ったが、惰行に入ると軽やかだった。暫く雑木林の中や空き地を見ながら惰行すると減速し終点だった。この車は現在東武博物館で保存されている。

大師線には時たま珍客が現れた。茶色とベージュの車やスカイブルー?とベージュ(快速色)の車だが、結局これらに乗ることはできなかった。型式や塗色の区分など当時の私に解るはずもなかったが、快速色を見たのは後にも先にも一度きりだった。これらは5700系や5300系であろうと思われるが、今にしてみれば因果なもので池袋で恋こがれた「青い電車」はこの快速色と同型式の5300であった。

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